先日、友人とのランチでイタリアンレストランに行きました。その時「いただきまーす」と言った私たちの声が重なりました。そしたら、彼女がこんなことを言ったんです。「いただきますって言葉の本来の意味って知ってる?」って。本来の意味? いつも何気に言ってる言葉だけど、意味なんて深く考えたことがありません。でも、料理を作ってくれた人への感謝の気持ちなんじゃないかな。そう答えたら、「それもひとつだけど、本当は、肉や魚や野菜の命をいただきます、なんだって」と言うんです。私たち人間の命に変えるから、それを感謝しての言葉なんだそうです。命の問題となるとなんだかちょっと重いお話です。私は料理を作ってくれた人への気持ちの方がしっくりくるなぁって思っていました。
友人とそんな話をしてから、数日後、小説にもよく似た内容が出てきたからビックリしました。料理人のご主人がお客さんに料理の説明をする場面があったんだけど、最後に出した豆腐の汁椀を、お客さんは豆腐以外の複雑な香りがするって言ったんです。それは、『鮎ずし』にした鮎の骨をサッと炙って出汁にしたからだというのが料理人の答えでした。そして、「鮎は年魚と言って短い命だから食べ尽くして成仏させてあげないと可哀想なんです」とご主人は話しました。その一節が私に友人との会話を思い出させました。そして、やっぱり命をいただくことへの感謝の気持ちが大事なんだって、不思議と思えてきたんです。これからは心を込めて言います。「いただきます」って。
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『いただきます』の意味
苦手意識をなくせば……
小説を読んでいたら、なんとも性格のキツイ女性が登場しました。主人公との会話を読んでいても、腹が立ってくるほどです。そんなこと言うかなと思ってしまい、彼女の声が聞こえてきそうな感じです。本当は声というより声のイメージと言った方が正しいのかもしれないけど。洋服は赤を着てると思うんです。もちろん、これも勝手な想像ですけど。でも、本当に苦手な人です。
たまに、仕事で会う人でも、なかなか手強いなって思うことがあります。仕事だからお付き合いするけど、プライベートでは絶対に無理だなって思ってしまいます。そんなときは、きっと向こうも同じように思ってるんでしょうね。
でも、小説では物語の後半で、その人の性格は変わらないけど、心の奥の部分に触れられていて、ちょっとほろっとしてしまう場面がありました。誰でも弱い部分ってあります。そして、100%悪い人もいません。そう考えたら、性格が合わないから、キツイからと言って、全てを自分の物差しで判断するのは間違っていますよね。ピシャンと扉を閉めてしまうんじゃなくて、受け入れる努力は必要です。うーん。自分自身に言い聞かせます。いつも仕事で会うあの男性。苦手意識をなくして心を開いて話せば、何がが違ってくるかもしれません。大事なのは自分が変わること。きっとそうなんだと思います。
方言っていいな
先日、電車に乗っていたとき、その日私はあいにく座れなかったから、小説が読めないなぁって少し残念に思いながら立っていました。車窓を流れていく景色を見ながら、密かにお腹をへこませたりしていました。そしたら、ふと私の前に座っている二人連れの女性の話し声が耳に入ってきたんです。二人は地元の人ではないようでした。その日に行って来たらしい場所の話や翌日のことなどを話していました。でも、全部がしっかり聞き取れたわけではありません。なぜなら、どこかの方言だったからです。いつも思うんだけど、方言っていいですよね。たまに、電車や街中で親戚が住んでる地域の言葉が聞こえてくることがあるけど、すごく心が動きます。親戚のおばさんの顔が浮かんで来たり、と懐かしい気持ちでいっぱいになるんです。でも、全く知らない地域の方言だって気になります。
この前、読んでた小説は、主人公の父子の会話がすべて京都の言葉で書かれていて、すごくいい味を出していました。京都の『はんなりとした』雰囲気って言葉にも出ていますよね。ストーリーもなかなか面白かったんだけど、セリフの掛け合いがとても気に入ってしまいました。たまに、方言で会話が進められている小説を読むことがあるけど、私はその雰囲気が大好きです。そして、その町の様子が書かれていたら、絶対に行ってみたくなりますしね。
その日、私は乗り換えの駅までずっと、目は車窓の景色に向いているけど、耳は二人の会話に向きっぱなしでした。
心地よい接客
今までに接客で気を付けることや人とのコミュニケーションで大事なことについて、本を読んできました。そのたびに、納得できることばかりで、自分を見つめ直していたんです。だから、頭ではけっこう理解しています。でも、なかなかできていないところもあります。だから、職場の人ですごく褒め上手な人がいるんだけど、いつも見習いたいなって思っています。
人は聞き上手にならないといけないと思うんです。人間は自分の話すことに耳を傾けてくれる人、自分の意見に同意してくれる人、そして、褒めてくれる人に好意を持つものです。それがわかっていても、そのタイミングって意外と難しいと思います。その時にスッと口に出せなくて、あとで、「ああ言えば良かった」「こう言えば良かった」なんて後悔することがあります。今、読んでる小説の主人公の女性の接客が本当に素晴らしいんです。お客さんに話を伺っているときに褒めるタイミングや気持ち良く話せる質問など、感心するばかりです。小説なのに、まるで自己啓発本やビジネス書を読んでるような気持になります。これって、ほんとうに質問力だなって思いますしね。彼女の会話は、自分の気持ちや感想を織り交ぜてるんだけど、その中に褒め言葉が入っていることがほとんどだから、相手も気持ちよく話し続けられます。それも、取って付けたような褒め方じゃないんですもの。この小説、かなり勉強になります。シリーズで続くから、全部読破したいです。
相性って何でも大事
人でも仕事でも、何にでも相性ってありますよね。良ければ上手く行くし、良くなければ上手く行かないものです。長く付き合いのある仲の良い友人や恋人、夫婦など、仕事でもしんどい時もあるけど、楽しい、やりがいを感じるというものは、やっぱり相性がいいんだと思います。
でも、先日読んでいた小説の中では登場人物が、『料理は、料理人と食べる側の相性』って話していたんです。そんなこと、初めて聞きました。でも、考えてみたら、なんとなくイメージが湧きます。味覚って人それぞれだから、ある人には美味しくても、別の人には苦手なこともあります。料理人は丹精込めて、食材や味付け、器にこだわって作っていると思うけど、食べる側はみんながみんなその価値が分かるとは限りません。作り手の思いを受け取ることができる感性が必要になりますよね、きっと。今まで、どこかで美味しいものを頂くときに、相性なんて考えたこともなかったし、そもそも、関係があるなんて思いもしなかったから、その小説を読んでからは、少し意識が変わりました。今度からは、ご馳走を前にしたら、きっとその小説を思い出すと思います。そして、自分がそれを作ってくださった方と相性がいいのかどうか、なんて考えると思います。そういうのも、なんだか楽しいですよね。
揉める時もあるんです
様々な文学賞があるけど、発表のたびに興味津々です。すでに発刊されている本の中からの有名な賞もあれば、新人を対象にした発刊が特典だというものもあります。以前、自分が芸能人だということを伏せて応募して見事に受賞した人がいましたよね。
先日、文学賞の選考委員をしている作家さんのお話を読んだんですけど、それによると、その役割もなかなか大変そうでした。そりゃ責任もありますしね。でも、やっぱりいつもスムーズに決まるわけではないみたいです。揉めることもあるんですって。小説はその人の読み方があるから、孤独の○もあれば、孤独の×もあるんですって。そんなときには、責任をもってその理由を論理的に説明できなければならないんですって。きっと、熱い選考が行われるんだと思います。だって、どれも素晴らしい作品で甲乙つけがたいというのが本音でしょうしね。もちろん、即座に全員一致で、ということもあるとは思いますけど。けど、どんな時にも、最終的には全員が納得しての結果にはなるんだと思います。でも、人によって小説の読み方が違うとなれば、選考委員の顔ぶれによって選ばれる作品が異なるということになりますよね。だから、賞によってカラーが違うということなんですね。誰が選んだかという観点から見ていくと、また面白いかもしれません。
パンにはレーズン
ドライフルーツは体にとてもいいと聞きます。ダイエットをしているときにも、おやつに少し食べると、ビタミンやミネラルなどの補給にもなるし、甘いお菓子を食べるよりずっといいという記事を読んだこともあります。一口にドライフルーツと言っても色々ありますよね。レーズン、プルーン、あんず、マンゴー、パイナップル、いちじく、トマト(フルーツじゃないけど)。なかでも、一番はやっぱりダントツで手軽な感じのレーズンです。何かと活用できますしね。私にとってもやっぱり一番身近です。子供の頃なんて、袋を抱えてどんどん食べていって、母に叱られたことがあります。食べ過ぎだって。でも、意外にも、レーズンが嫌いだっていう人も多いですよね。私の周りにもいます。食べられないだけでなく、パンの中に入ってるなんて許せないんだそうです。
先日、読んだ小説の主人公もそんな人でした。パン教室から帰ってきた母親の手提げ袋を大喜びで奪い取って、中を見て愕然とする場面。「なんで、こんなもの入ってるのよ! 嫌いなの知ってるでしょ」と怒る主人公。パン教室なんだから、決まったレシピで作ってるのに仕方ないでしょ、とツッコミたくなります。それにしても、嫌いだなんて可哀想。私なんて口に運ぶ手を止めるのに苦労するというのに。そんな話をするだけで、口の中にレーズンの甘酸っぱい味が広がるような気がしてきます。あー、レーズンパン、食べたくなってきました。
その一言は痛い
先日、あるメンタルコーチの方が書かれた記事を読みました。それは、片付けに関するものです。今までにも何度も雑誌や本で、片付けは人生にとてもいい影響を与えるという内容の記事を読んできました。その都度、納得していました。実際に時々まとめて片づけるとすっきりします。けど、そこに至るまでにかなり時間がかかることもあります。気にはなってるけど、そんな時間がないというとき。先日、ちょうどそんな風に思っていたところだったから、その記事を読んで「やられたな」という気持ちになりました。なぜって、そこには片づけ苦手が人には3つのパターンがあると書いてあったんですけど、一つ目のパターンが『時間がない型』と書いてあったんです。そして、『時間がない』ことを理由にする人は、仮に時間に余裕ができても、捨てたり片づけたりしないことが多いと書いてありました。ちょっと痛いところを突かれました。いやぁ、いつもそれを理由にしているわけじゃないから、すると時にはするから、と言い訳をするような気持になっている自分が少し恥ずかしくなりました。要するに何を優先するかということだけなんですって。たとえ、忙しくても捨てることができることは、人生の大事な課題や問題に向き合うきっかけになったりもするんだそうです。時間は一日24時間、誰にとっても平等なんです。
駅弁は魅力的
デパートやスーパーで時々開催されている駅弁のイベントは、いつだって大人気です。オープンと同時に多くの人が流れ込んでいるのか、ちょっとゆっくり午後から覗いた日には、人気商品はいつも売り切れています。仕事帰りになんかもう全く残っていません。雑誌にも全国の駅弁の特集が掲載されていることがありますよね。写真を見ていたら、絶対に食べたくなります。だから、「今度旅行に行くときにはそれを食べよう」って思うんですよね。もちろん、雑誌に載せてるのは、それが狙いなんでしょうけどね。でも、そもそも、電車に乗って遠くまで行くときには、特急の中で食べる駅弁が楽しみですもの。大人になったって、やっぱりワクワクします。だから、いつも人気だし、イベントだって大盛況なんですよね。この前見かけた雑誌では、順位というか格付けされていました。今まで行ったことがない地方のものには憧れに似た気持ちを持ってしまいます。いつかそっちに行くことがあれば、買って食べてみたいって思います。でも、なかなか実現しそうにないです。だからなんですね! みんながイベントに押しかけるのは! なかなか行くことができないから、せめてそれを家で味わってみたいという気持ちですね。理解できました。これは早起きして出かけるしかないですね。
天使と悪魔
人間ならたぶん誰でも、心の中に天使と悪魔が住んでいると思います。もちろん、ほとんどの人は天使の声の方を選んで行動しているとは思いますけどね。でも、私だって、正直なところ、今までに一度だって意地悪な気持ちになったことがない、なんて言えません。つい意地悪心が生まれてしまったことだってあると思うんです。そして、たいがいは奥深いところに沈めておくんだけど、時には言葉にしてしまったこともあると思います。そんな言葉を言ってしまった後には必ず、自分も嫌な気分になってそのことを後悔するんです。
今読んでる小説にも、主人公の心の声の描写には、そんな葛藤が何度も出てきます。自分とは考え方や意見の違う人間に対して、彼らのその行為があまりに愚かだと思い、ムクムクと湧いてくる意地悪な気持ちをそのまま差し出したくなるって書いてあるんです。その衝動わかります。主人公もそんな衝動を何度も抑えるんだけど、過去に抑えきれなくなったとの記述があります。でも、それについてはまだ謎です。だから、この先を読み進めていけばきっと、何か事件が起きそうです。彼が爆発してしまいそうな気がします。けど、本当に繊細な心理描写が見事で、普通なら誰もが表に出したくない、誰かに知られたくない奥深いところにあるものを書いていて、思わず自分自身を見透かされているような気持になってしまうんです。けど、私の中にいる悪魔は封じ込めておきたいものです。